かっこいいポーチがほしいという声から生まれました。

 2012年1月、i_llumi代表である高杉昭吾が滋賀県立大学大学院でデザインを学んでいたとき、所属する南政宏研究室に訪れた1型糖尿病患者さんと出会いました。

1型糖尿病は一般に生活習慣病として知られている2型糖尿病とは違い、生まれて間もない子供から大人まで突発的に発症し、日々のインスリン投与による治療が不可欠となり、現在では完治出来ない病気で、その発症率は10万人に1人とされています。

彼は成人してからこの1型糖尿病を発症しインスリン治療を続けるうちに、治療機器やそれらを収納するポーチの見た目の悪さに不満を持ち、もっとかっこいいポーチを作れないかと相談に来ていたのです。

高杉は学部時代から、人が物を使うことによって気持ちが変化していく過程に関心を持ってデザインを学んできていたため、日々使い続けるたびに不満に思っていたポーチの見た目が良くなることで、これからも続く治療をすこしでも楽に出来ないかと考え、その課題に修士研究として取り組むことになりました。

これがi_llumiのINSシリーズ開発の始まりです。

修士研究発表の展示 修士研究で制作したポーチ 修士研究で制作したポーチ 患者会での調査

2012

アンケート

アンケート調査

現在使っている機器の種類や組み合わせ、ポーチを選んだ経緯や要望などの項目を設定しました。紙やWebサイト上でアンケート調査を行い、インスリン治療が必要な1型糖尿病患者さんを中心に、総勢124名から回答を得ています。

紙で構造の検討

サマーキャンプへの参加

1型の子供達を中心に開催されたサマーキャンプへ参加し、実際に1日の生活の中でどのように治療を行い、食べて遊んで生活をしているのかを調査しました。

試作の積み重ね

試作の積み重ね

アンケート調査やサマーキャンプなどの体験を経て、今のインスリン治療用機器やポーチの改善点などを挙げ、それらを解決できる案を出しては試作し、デザインを検討しました。

患者会への参加

各会への参加と意見交換

試作したものを持って、各地で行われている患者会などへ参加し、患者さんからの評価や意見を直接聞き、さらなる改善点を上げていきました。

完成(1回目)

完成(1回目)

ここでは、インスリン治療に慣れた上級者に向けたデザインを選択し、初心者よりも汚さず丁寧に扱える上級者を対象としています。そしていつも持ち歩くに相応しい素材として、汚れやすいけれども経年により魅力が増すイタリア製のヌメ革を使用し、完成させました。

修士論文

修士論文

今回の研究での成果を論文にまとめて発表し、大学院を修了しました。

2013

患者会での展示

患者会での展示

修士研究で制作したものを展示し、その成果を見ていただきながら、製品化に向けてさらにデザインを詰めていきました。

患者会以外での展示

患者会以外での展示

この取組自体をもっと周知させることで、より活動の幅を広げることが出来ました。

研究成果の発表

研究成果の発表

修士研究での調査結果や資料などを各患者会へ参加し、治療機器を収納する物のデザインという可能性について発表しました。

CC(クリアコーティング)

新しい革の開発

修士研究で使用したヌメ革は劣化による風合いは美しかったものの、やはり費用や防汚性の観点からこの用途での量産には適しませんでした。そこで、表面にクリアコーティングをすることで血液や手脂を防ぎながら、純粋に光だけで風合いが変化していく特別なヌメ革を、問屋や工場の協力によって新たに開発しました。

さらなる改良

さらなる改良

自分でも普段身につけてしばらく生活していくうちに、新たに発見した問題点や不満を解決するために構造を見直し、より精度の高いデザインとして改良を続けました。

職人による試作

職人による試作

より良いデザインを作るためにはデザイナーが自分の手で紙や革を加工して試作しなければなりません。しかしその先の領域に到達するためには、その分野での知識や技量や感性に優れた職人の力が必要となりました。

2014 〜

最終調整

最終調整

試作を元に図面を修正し、その図面から新たに試作をくりかえして最終デザインが決定しました。そして量産に向けて金型や革を発注し、その他の段取りもまとめていきます。

金型での型抜き

金型での型抜き

金型で革を裁断すると、手で切ったものよりも断面が丸くなり、より質感が増しました。しかし、革はその厚みや質が不均一なため、どの革の部位をどう取るかによって製品の出来具合に大きな差が生じます。その差を埋めるための工夫もあり、なんとか量産の段階に進むことが出来ました。

試作の積み重ね

完成(2回目)

インスリン治療用のポーチを作るというきっかけから約2年を経て、ついに製品として完成することが出来ました。

INS

i_llumiとしてのINSシリーズ

そしてこれからは、i_llumiのINSという製品ラインとして新しいスタートを切り、これからも開発を重ねていくことになります。